天国への返信

　　　　　　　　　　　　　　　　　杉本　幸子

　みよ子さんお元気ですか？旅立たれてしまったあなたに、こんな挨拶はおかしいでしょうか。でも、あなたからのお手紙を読んだ今でもそれが真実とは思えないでいるのです。

　その日の午後4時を過ぎたころだったでしょうか。玄関前のポストから郵便物を取り出し家に入りました。その1通に点字で書かれた宛名が私宛になっていることに気づきました。差出人を確かめるとあなたのご主人からでした。何かのご案内を下さったのかと思いました。・・・？いやな予感に襲われました。

　封を開けると同文と思われる点字とすみ字の手紙が出てきました。「ご挨拶」と書かれたその手紙には「私中村みよ子は2007年9月20日に天へと旅立ちました・・・」。みよ子さん、本当のことなんでしょうか？しばらくは、いえ今でもとても信じられない気持ちでいます。

　すっかりご無沙汰してしまって、最後にお会いしたのはいつだったでしょうか。昨年の春に開かれた視覚障害のある生協利用者の集まり「音声電卓利用者の会」だったでしょうか。2005年に開催された「あいち万博」では、親しい友人たちと朝から日が暮れるまで思いっきり楽しみましたね。

　初めてあなたにお会いしたのは今から20年余り前のことでした。名古屋市女性会館主催の「視覚障害をもつ女性とともに」というテーマの講座に、私が始めて受講したときのことでした。この講座は、視覚障害のある人ない人がお互いの理解を深めるためにともに学ぶ場で、数年前から継続されていました。何も知らない私に、先輩であるあなたはとても親切に講座のようすを教えてくださいました。

　その後、それまで健常者ばかりが受講していたほかの講座に何度か誘ってくれましたね。ある講座では、複数の視覚障害者が受講しているこの講座に点字資料が用意されていないのはおかしいのではないかと、会館に点字資料の提供を求める要望書の提出を提案されました。点訳音訳ボランティアとともに何度も会館側と話し合いを重ね、ついには会館主催のすべての講座に点字資料を用意することを実現させました。あの時の感動は今でも忘れません。

　あなたが伝えようとしたこと、いつまでも忘れないよう心に刻み続けます。みよ子さんありがとう！